らくらく化学実験_酸化 燃焼 空気 爆発範囲

空きかん、なめたらアカン!

 
 親の調理の手伝いに子どもが釜戸の前に立ったり、薪で風呂を沸かしたなんてことは遙か昔の物語となり、バーナーはおろかマッチを擦ることすらできないなどど、とかく火の扱いの下手さ加減が話題になります。判断を任され責任を負う年齢に達してから、大きな事故を招くことのないよう、このような火を使った事故の疑似体験を積んでおく必要があるように思われます。ここでは小さな爆発を空きかんでポン!とやってみることにしましょう。
「手 順」
  1. 空き缶(柔らかいアルミ缶がよい)を用意し、底辺から2pのところにくぎやキリなどで7−8o程度の穴を空ける。
  2. アルコールを少量缶に注ぎ、回転させて缶の内壁全体に広がるようにする。
  3. 缶に薄目の紙を輪ゴムで軽く止め、マッチやライターの火を穴に近づけて点火。
動 画:輪ゴムと薬包紙を使って

動 画:紙コップを使って
「注意と工夫」
  1. 点火前に缶を手で暖めるとアルコールの気化が進み、成功率が高くなるようです。霧吹きがあれば、もっと簡単にアルコールを内部に広めることができます。
  2. 点火には、市販の点火器(チャッカマン:上画像)が適しています。炎が吹き出す感じになるので、マッチやライターより操作がしやすいようです。
  3. アルコールの量ですが、缶の底にたまらない程度にして下さい。アルコールが残っていると、火が消えなかったり、缶が転倒した際に思わぬ事故を招くおそれがあります。
  4. 輪ゴムで止めた紙の代わりに、紙コップを使う方法もあります。この場合は、350mlの空きかんが適しているようです。

「解 説」
爆発が起こる条件
 
可燃物が爆発を起こすには、空気がある一定の割合で混合されている必要があります。条件により、ガソリンのように危険な可燃物に点火してもメラメラ燃えるだけの場合もあり、反対にろうそくの炎でもガラスを溶解させる高温を作り出すことも可能です。燃料は有機化合物であり、含まれている炭素Cが燃焼してCOに変化する際に出るエネルギーが利用されるわけですから、空気(酸素)が不十分だと効率よく燃えません。炭素Cが燃え切らない場合が不完全燃焼であり、炎はオレンジ色になりススが出たりするわけです。逆に、多くの酸素に触れてやるようにすると火勢が強くなり、炎は青味がかってきます。燃焼効率が上がるので、温度も高くなるのですが、この効率良い燃焼が極端なかたちで起こるのが爆発という現象です。
 爆発が起こる条件(空気との混合比:爆発範囲)は、物質によって違っていて、例えば石油よりガソリンの方が爆発が起こる範囲が広い(爆発しやすい)などと表現されます。

 「エチルアルコールの爆発範囲」関連サイト:住友化学

火の扱いは大仕事
 学校現場では生徒の火の扱いの下手さ加減がよく話題になりますが、ガスバーナーはおろかマッチを擦ること自体が大仕事です。ところが、そうグチをのたまう先生方の中にも火を直接扱う文化から疎遠な世代が多くなり、火の扱いそのものを敬遠する傾向が出てきているようです。かつてはアルコールランプやガスバーナーは実験道具の定番でしたが、もし事故が起きたらそれこそ大変と、神経質に考えを巡らす傾向が強くなったのでしょうか。それとも、実験準備そのものが面倒で、火を使った実験が相対的に減ったのでしょうか。いずれにせよ、子どもにとってダイナミックな科学現象に出会う機会が少なくなっているということはとても残念なことです。基本的な配慮事項を守ればどうということはないので、安全への配慮を徹底した上で、体験をさせることを大切にしていきたいものです。
 もっとも、高校生くらいになるとライターの扱いにやたら手慣れた生徒がたまにいて、理科実験となるとやたら元気に振る舞う者も多いようです。リーダーシップを取ってくれているうちは良いのですが、アルコールを扱っているということを忘れないようにしたいものです。 

  関連実験ページ:たいした大気圧
  
関連実験ページ:番外編:お化け缶ダンシング


「参 考」
 化学を楽しくする5分間 (日本化学会:化学同人)
 化学マジックタネ明かし (山崎昶:講談社ブルーバックス)


「確認演習」
  1. エチルアルコール(O→構造式はCOH)が完全燃焼する際の化学反応式を示しなさい。
  2. エチルアルコールの構造式と分子量を求めなさい。
  3. エチルアルコール23gを完全燃焼させる場合
    (1) エチルアルコールのモル数は?

    (2) 完全燃焼に必要な酸素は、標準状態で何? か?

    (3) 生成する二酸化炭素の分子数は?

    (4) 生成する水の質量は?
  4. 炎の色と温度の関係を述べなさい。
  5. 不完全燃焼とはどういうことか、事故がよく報道されることにも触れ、説明しなさい。