| らくらく化学実験_表面張力 単分子膜 |
すみに置けない墨流し
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墨流しは、古くは古今時代(10世紀初頭)にその記述があるという伝統芸術。同心円の模様を崩すと、再現不能の微妙な流れの紋様が現れます。小さいスペースでの渦と流れではありますが、これぞエントロピーのなせるワザ。大いなる自然との対面を楽しみましょう。 |
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「手 順」 所要時間25分
- よく洗ったバットに水を一杯にし、筆やつまようじの先に墨汁をつけて、水面にわずかに触れさせる。
- 今度は、つまようじの先に食用油をつけ、円形に広がった墨の中心に触れさせる。
- 2−3の操作を何度か繰り返し、墨と油の円形縞模様を作る。
- 墨汁用のつまようじを使い、縞模様を分断するようにかき乱す。
- 半紙に模様を写し取り、乾燥させる。
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黒と透明の同心円が縞模様となって表れる。
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模様の分断は、息を吹きかける方法もある
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「注意と工夫」
- ようじを使って模様をかき乱した後、すばやく写し取ること。時間を置き過ぎると模様が分散してぼやけることがあるようです。
- 墨汁だけではなく、絵の具を使っても美しい紋様を作ることができます。西洋で言うところのマーブリングです。
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濾紙に写し取った例
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和紙を使った墨流し作品:福井県無形文化財福田忠雄さん作
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動 画:墨流し作業の様子 約10秒
撮影の関係でせわしい作業になっていますが、実際はもう少し余裕を持って行います。
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「解 説」
誇るべき伝統芸術
墨流しは、水の表面張力の低下と墨の拡散を利用した伝統芸術で、我が国においても千年以上の歴史があります。尾形光琳の「紅白梅図屏風」には、見事な流れと波がデザインされ、日本の芸術の代表作のひとつとも言われています。
食用油(油脂)は、分子内に疎水基と親水基を持っています。油脂は、水に滴下されると、疎水基を上に向けて、単分子膜を形成します。一方、墨汁には膠(にかわ)と油分が含まれているので、一緒に分散されている炭粒子を引き連れて表面に広がります。墨流しでは、炭を含むものとそうでない単分子膜を交互に作り、攪乱することで、絶妙な流れ紋様を造ろうとするものです。 |
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尾形光琳の「紅白梅図屏風」
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こちらはマーブリング。和紙に写し取ったものをラップ芯に貼り付ければ、しゃれたネクタイ掛けのできあがり!
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物質量等の計算に
油脂が水面で単分子膜を作る性質を利用すると、油脂の分子1個当たりの占める面積などを求めることができます。色チョークの粉を水面に振りかけたところに、油脂を滴下すると色粉は押しやられます。そこに、方眼紙で表面を写しとり、面積を求めます。
油脂の分子量:M、秤りとった油脂の質量:mグラムとして、これをエタノール等に溶解させ、Kml用のメスフラスコに入れて調整した場合の油脂のモル濃度C(mol/l)は、
C=(1000/k) ×(m/M)
この濃度の溶液1滴中に含まれる油脂のモル数cは、
c=C×(v/1000)_@
で表せるが、1滴の体積vは非常に小さいので実験では、50−100滴単位で全体量を出してから算出します。仮にx滴でymlになったとすれば、1滴の体積vは、
v=y/x ml
従って、1滴中の油脂のモル数は@より、
c=my/KMx_A
となります。
さて、方眼紙に写し取った油膜の面積Scm2から、油脂1分子当たりの面積(単位分子断面積)scm2を求めてみます。
油膜の面積Sは、1分子当たりの面積sに水面に並ぶ分子の個数Nをかけあわせたものなので、
S=s/N_B
また、水面に並ぶ分子の個数Nは、油脂のモル数cにアボガドロ定数NAをかけたものでもあるので、
N=c×NA_C
@ABをまとめて、sを求める式に整理すると、
s=SKMx/myNA cm2
に、まとめることができます。
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「演 習」
- 食用油(油脂)の一般的な構造を示しなさい。また、ステアリン酸の分子量を算出しなさい。
- 油脂は水面でどのように並ぶか?親水部と疎水部の違いがわかるように分子を表し、図説しなさい。
- 墨汁には膠(にかわ)が使われている。その役割は何か、説明しなさい。
- ステアリン酸を精評したら、0.12グラムであった。これをエタノール等に溶解させ、200ml用のメスフラスコに入れて調整した。100滴でちょうど35mlとなるピペットを使い、1滴を水面に滴下した。この場合、水面に広がり単分子膜を形成するステアリン酸分子の個数はいくつになるか、計算しなさい。
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