らくらく化学実験_鉄 酸化 反応速度 表面積

鉄の火のカーテン

 鉄と言えば、一般に知られる金属の代表。硬くて丈夫なイメージがありますが、細かい粉にすれば、簡単に燃やすことができます。鉄粉を炎に向かって振りかけると、手の先がスパークするようでなかなか楽しいです!
「手 順」
【実験A】
  1. 紙の上で長めの鉄くぎをヤスリにかけ、鉄粉を集める。
  2. 得られた鉄粉を手で集め、火に向かって振りかけるようにする。
    • 右画像:実験A:きらきらと火花がたくさん見える

【実験B】
  1. シュウ酸鉄1gを乾いた試験管に入れ、バーナーで強熱する。黄色の試薬は、ガスを生じながら分解し、黒くなっていく。完全にガスが出なくなって変化しなくなるまで、3−4分かかる。
  2. 変化しなくなったら加熱をやめ、ゴム栓をして、空気に触れないようにする。
  3. 床に不燃性のシートや十分に濡れた新聞紙をのせた板を準備する。
  4. ゴム栓をはずして、上方から生成物をシートに落とす。

完全に黒化するまで熱する

まさに鉄の火のカーテン

    動 画:実験A:やすりで粉末を振りかける
    動 画:実験A:鉄クギの粉末を一度に振りかける
    動 画:
実験B:空気中で発火する様子
「注意と工夫」
  1. 実験ABともに、鉄粉は赤さびとなって残りやすいので、汚してもかまわない木板か金属板の上に十分に濡れた新聞紙等を敷いて作業します。
  2. 実験Bで使用のシュウ酸鉄は劇薬で、扱いに注意が必要です。加熱中に試薬が吹き出すことがあるので、炎から遠ざけて、適当に加減します。また、生成した黒色粉状物は、ゴム栓をしておけば数日間は保管可能なので、サンプルをたくさん作っておくと便利です。
「解 説」
形変われば性質も
 粉状にすると表面積が増大し容易に酸化反応が起こりやすくなる、要するに鉄でも燃えやすくなるということです。関連実験で、酸素中でスチールウールを線香花火のように燃やすというのもありました。また、趣向は異なりますが、やはりスチールウールに電流を流して燃やす実験があります。この場合も、同じ金属でも形をかえてやると、物理的化学的性質が変わることがあるということを理解させたいものです。
 実験Bのシュウ酸鉄は、加熱により、主に二酸化炭素を出しながら分解していきます。残る黒色成分は、鉄の酸化物で、FeFeOFeOFeOが混在していると考えられます。二酸化炭素が抜け出た微粒子で、表面積が大きいため、空気に触れるだけで容易に発火します。ゴム栓をしっかりして空気に触れないようにしておけば、ある程度保管が効きます。

関連実験ページ:炎の復活 酸素で燃やそう

動 画:線香花火 こちらは市販のものです、参考まで。

脱酸素剤:鉄の粉末が酸素を吸収する

「確認演習」
  1. 鉄クギと粉状の鉄の反応性の違いは何によるか、説明しなさい。
  2. 生じた鉄の酸化物と考えられるものを、列挙しなさい。
  3. 2.8gの鉄から、その50%がFeOになったと仮定し、生じた物質の質量を求めなさい。
  4. 生成物の一部には磁石につくものが含まれている。その物質について、性質や用途を調べなさい。
  5. 菓子袋などに入っている「脱酸素剤」の働きについて説明しなさい。
  6. 実験Bで、試験管を加熱した際、発生したガスは何であると考えられるか。
「参 考」化学を楽しくする5分間(日本化学会 化学同人)
編集:山田暢司